伝統芸能に親しむ
「子ども狂言ワークショップ」を立教小学校で実施

立教小学校 × 三重県「名張子ども狂言の会」

2024/12/23

OVERVIEW

2024年10月18日、三重県の「名張子ども狂言の会」による「子ども狂言ワークショップ」を立教小学校で実施しました。これは、交流都市協定を締結している三重県名張市と豊島区の子どもたちとの交流を目的として行われました。参加した立教小学校の4年生、約120人は、年齢の近い「名張子ども狂言の会」の芝居を興味深く鑑賞しました。

名張市と豊島区は交流都市協定を締結して2024年で20周年を迎えました。その節目の年に、能楽で知られる名張市との文化交流を行いました。

名張市の北川裕之市長

ワークショップに先立ち、名張市の北川裕之市長からあいさつがありました。「皆さんに覚えてほしいことがあります」として、次の3つが紹介されました。名張市のある三重県の伊賀地域は忍者発祥の地であること。豊島区で最後の時を過ごした江戸川乱歩は名張市で生まれたこと。能楽の創始者である観阿弥が初めて座(興行を行うための組織)を立ち上げた場所が名張であること。こうした名張市に関する基本知識を学んだ後、ワークショップの講師を務める大蔵流狂言師・茂山宗彦氏と、実際に狂言を演じる「名張子ども狂言の会」の皆さんの紹介がありました。茂山氏は、江戸時代初期から京都に拠点を構える名門・茂山千五郎家の狂言師。4歳から狂言の舞台に立ち、狂言の普及活動に尽力しつつ、現在はテレビドラマなどにも活躍の場を広げています。「名張子ども狂言の会」の子どもたちは、茂山氏からの指導のもと国内外のさまざまな舞台で狂言を披露しながら、名張の伝統芸能の継承に努めています。
いよいよ「~古典芸能を学ぶ~ 狂言とは?」と題したワークショップです。はじめに狂言の歴史や成り立ちについて茂山氏から説明がありました。

「能と狂言から成り立つ能楽は、およそ650年前の室町時代に生まれ、日本で一番古い芝居と言われています。芝居にはテレビドラマ、映画、歌舞伎、オペラなどたくさんの種類がありますが、楽しい話である喜劇と悲しい話である悲劇の2つに分けることができます。狂言は喜劇です」

大蔵流狂言師の茂山宗彦氏

続いて狂言における芝居の特徴について。「お笑い劇なので面白いことがあったら登場人物は笑いますが、狂言では皆さんとは違う笑い方をします」という茂山氏は「はー、はっはっはっは」と大声で狂言の笑い方を実演しました。このように笑う理由について「狂言を含む古典芸能は昔、屋外で行っていました。マイクや音響施設がない時代、遠くで観ている人にも『あの人は笑っているんだな』と伝わるようにしているのです」と解説。「能楽堂や相撲の土俵の上に屋根が付いているのは、昔、屋外で行っていた名残です」と予備知識も教えていただきました。泣き方についても実演し、「泣いていても、どこか面白さを感じる。それが狂言なのです」と語りました。
また、狂言は言葉が中心の「せりふ劇」であることについて解説がありました。「場面が変わる時、一般的な演劇では舞台を回転させたり、背景を変えたりしますが、狂言では役者が舞台を動きながら全て言葉で説明します」と茂山氏。一例として、京都から東京の立教小学校に移動する際の演技を「京都に住んでいる狂言師でござる。立教小学校で狂言をいたしまする……」と、せりふと動きを交えて披露しました。

茂山氏からの説明の後は、「名張こども狂言の会」の2人が演目「清水」を披露。自分たちと年齢の近い2人が20分強の狂言を堂々と演じる様子を、児童たちは感心するように鑑賞していました。演目の後には3人の子どもと茂山氏が加わり、演目をめでたく結ぶために歌われる「祝言」を歌いました。

狂言の演目「清水」

堂々とした演技を披露

狂言の特徴ある笑い方を体験

続いて質疑応答です。「せりふや動きはどのように覚えるのか」「ストーリーは誰が考えているのか」といった児童たちの素朴な疑問に対して、茂山氏からユーモアを交えながらも丁寧にお答えいただきました。「狂言の声はどのように出すのか」という質問の際には、実際に児童たちも「はー、はっはっはっは」と笑い声の練習を行い、会場は笑顔と活気であふれます。最後は、茂山氏と「名張こども狂言の会」の子どもたちへ児童からのお礼の言葉で締めくくりました。

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