共生社会に向けた「シチズンシップ教育」——パラスポーツ体験を実施

立教池袋中学校

2024/09/05

OVERVIEW

立教池袋中学校では、2024年7月12日にパラスポーツ体験をアリーナ(体育館)にて行いました。生徒たちは、パラリンピックの種目にもなっている「車いすバスケットボール」「ゴールボール」「ボッチャ」の3競技に分かれて専門家の指導のもと体験し、パラスポーツへの理解を深めました。

立教学院の教育目標「テーマをもって真理を探求する力」「共に生きる力」を育むために、立教池袋中学校・高等学校では「リーダーシップ教育」「シチズンシップ教育」「グローバル教育」の3つを教育の柱に据えています。パラスポーツ体験は「シチズンシップ教育」をベースに、多様性や他者との協働について学び、社会が抱える問題の解決に向けて行動する力を養うことを目標として実施。生徒たちは「車いすバスケットボール」「ゴールボール」「ボッチャ」の3競技の中から1つ選んで体験しました。

「車いすバスケットボール」体験

車いすバスケットボールのルールは一般のバスケットボールとほとんど同じで、ゴールの高さも同じです。選手にはしょうがいの程度により、1.0点から4.5点の持ち点が定められており、コート上の5人の持ち点の合計点は14.0点以内と決められています。
体験は「実技」と「レクチャー」の班に分かれて行われました。

実技の班では、競技用車いすの操作に慣れるためのダッシュ、ターンといった基本動作の練習から始まりました。生徒たちは隣の人にぶつかったり転びそうになったりと、思うように動かせない車いすに悪戦苦闘しながらも少しずつこつをつかんでいきます。

レクチャーの班では、車いすバスケの特徴や、競技用と一般用の車いすの違いなどを学びました。

最後には試合形式のミニゲームを行い、ゴール下の攻防や激しいボールの奪い合いなど白熱した展開に、コートの外にいる生徒たちは大きな声援を送りました。

「ゴールボール」体験

ゴールボールは視覚しょうがいのある人がプレーする球技です。1チーム3人で鈴の入ったボールを転がすように投げ合って、相手ゴールにボールを入れて得点を競います。選手はしょうがいの程度に関わらず「アイシェード(目隠し)」を装着し、声と音だけを頼りにプレーします。

体験はアイシェードを着けて、見えない世界に慣れるところから始まりました。最初に行ったのは声だけで同じ誕生月や血液型ごとに整列するミニゲーム。呼びかけを頼りに意思疎通を図ることに奮闘しました。続いてコート上でボールを使い始めると、どこからボールが来るのかを音だけで判断することは難しく、ボールをパスする際には方向を定めるのに時間がかかります。どうすれば相手が取りやすいのか、相手からはどんなボールが来るのか、見えない状況の中で、共にプレーする仲間のことを考えて、想像して行動しました。

「ボッチャ」体験

ヨーロッパで生まれたボッチャは、重度脳性まひ者もしくは同程度の四肢重度機能しょうがい者のために考案されたスポーツです。2チームで、ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、赤と青の6球ずつを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。

ボッチャのボールは柔らかくて、弾まず転がりにくい特性があり、ゲーム形式での体験に臨んだ生徒たちは、思いどおりの場所にボールを投げることや届けることに苦戦。投球したボールを正確に目標に近づけられるか、相手チームのボールを利用して、自分のボールを有利にするかなど、考える場面も多く見られましたが、初めて触るボールの予想できない動きにコートの内外は大いに盛り上がりました。

体験の振り返りと、車いすバスケットボール競技観戦

各競技の体験終了後、車いすバスケットボールチーム「埼玉ライオンズ」の中井健豪コーチと選手の皆さん、立教大学卒業生で東京2020パラリンピック・ゴールボール女子銅メダリストの若杉遥さん(2018年社会学部卒業/写真右)、授業のサポートを担った立教大学の学部学生・大学院学生から振り返りのコメントを受けました。「共生社会を目指す中で、パラスポーツを通してこれまで知らなかったことを知った今回の体験を大切にしてほしい」といったメッセージに、生徒たちは真剣に耳を傾けました。

最後に、埼玉ライオンズの選手による車いすバスケットボールの試合を観戦しました。パリ2024パラリンピックに出場する選手も参加して、目の前で繰り広げられる熱い戦いに生徒たちは大興奮。ゴールが決まるたびに大きな声援を送りました。

その後、生徒たちは教室に戻り、パラスポーツ体験を振り返り、理解をさらに深めました。

担当教員より

池袋中学校・高等学校 市橋祐介教諭

パラスポーツ体験は、本学の3つの教育の柱のうち「シチズンシップ教育」を念頭に企画していますが、他の2つの柱「リーダーシップ教育」「グローバル教育」を包含していると考えています。例えば、立教学院が目指すリーダーシップは、一人のカリスマが引っ張っていくものではなく、それぞれが強みを出して支え合う、誰もが発揮できるものです。初めて体験するスポーツにおいて、みんなが工夫を凝らしつつ互いに励まし合いながらプレーし、周囲の生徒たちもそれを応援して盛り上げる。そこには「リーダーシップ教育」の要素も含まれていると考えます。また、若杉さん(ゴールボール)や車いすバスケの選手のようにバラリンピックに出場されている方と交流して、世界をより身近なところから感じることも「グローバル教育」につながると考えています。

また、本日のパラスポーツ体験に、生徒はパラスポーツや各競技についての事前学習を行い臨んでおり、体験後は教室に戻り振り返りを行います。教室で得る知識と体験活動を通した経験から得られた学びを結びつけることも一つの目的としています。

立教大学スポーツウエルネス学部の松尾哲矢教授の協力を得て始まったパラスポーツ体験は、卒業生だけでなく学部学生や大学院学生の手を借りながら実施しています。このように一貫連携教育によって中高だけではできない授業が実現できて大変うれしく感じています。

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