演じる喜びと感謝を胸に、夢の舞台へ

劇団四季 俳優 立崇 なおとさん

2023/05/24

OVERVIEW

立教小学校から中高大までの16年間を立教で学び、現在は、劇団四季で俳優として活躍する立崇なおとさんにお話を伺いました。

夢を見つけて、夢を育んだ、立教での16年

演技や歌に魅了され、立教大学現代心理学部映像身体学科を卒業後に劇団四季に入団しました。夢の舞台で、自分という人間の在り方を考えながら演劇に向き合い続けています。

小学校から中高大と過ごした立教は、私にとって「夢のきっかけ」であり「夢を育てた場所」です。小学5年のクリスマス礼拝の時に聖劇に参加し、私は主役の少年と共に旅をするロボットを演じました。先生や友だち、他の児童たちが劇を観て笑ってくれて、とても楽しかったことを覚えています。小学4年から6年では聖歌隊に所属し、礼拝や学校行事で活動しました。本番に向けてソロパートの振り分けがされるオーディションのようなこともあり、「歌いたいパートを勝ち取るぞ」と熱心に取り組みました。人の前で何かを披露することに楽しさや喜びを感じたのは、小学校時代が最初だったように思います。

立教小学校入学式。3つ上の兄も立教小学校に通っていた(左が立崇さん)

本格的に演劇を始めたのは立教池袋中学校の時。クラブ活動紹介でタップダンスをする演劇部に衝撃を受け、すぐに入部を決めました。池袋中高の演劇部は一緒に活動していて、部長を務めていた西川大貴※1さん(高校3年)との出会いが、演劇にのめり込んでいくきっかけと言えます。大貴さんが書いた脚本で、全国大会にも出場しました。また、学校以外でも活動していた大貴さんの舞台を見て、「こんな世界があるんだ」と関心を持ちました。大貴さんから「声が良いからミュージカルをやってみるといいよ」と言われて、当時は「ミュージカル」がどんなものかも知らなくて、ネットで動画を検索してみると……すぐに引き込まれました。それからはいろいろな動画を見たり、まねをして歌ったり、踊ったり、自分なりに練習を続けました。

※1 西川大貴:にしかわ・たいき/2014年立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。俳優・クリエイター。

背中を押してくれた先生の言葉

立教池袋高校に進学し、将来は演劇に関わる仕事に就きたいと、自分のキャリアを考え始めます。そのような中、オーディションと修学旅行の日程が重なってしまい、どうしようかと悩んでいたところ、高校の先生は「夢に向かって真っすぐ進むのがいいよ」と背中を押してくださいました。その言葉がなければ、自分を信じて一歩を踏み出せてはいなかったでしょう。いろいろな場面で、私の夢を応援してくれた先生方には、とても感謝しています。

好きなことに没頭し、夢を追い求め続けられたのは、立教の自由さや個を大切にする校風があったからこそ。児童・生徒の主体性を尊重し、「やりたいこと」を全力でサポートする環境が整っており、それは一つ一つのプログラムや課外活動にも表れていたと感じます。
立教小学校5年の時の「グローバルエクスカーション※2」では、自分で行き先を選択し、船で丸1日かけて小笠原諸島へ。真っ青な海で、たくさんの魚に囲まれたシュノーケリングは、忘れられません。また、高校1年から準備を始めて3年で本格的に取り組む卒業論文は、「人はなぜ怒るのか」というテーマで取り組みました。これは、暑いと人は怒りっぽくなるな、と感じたことから「怒りという感情と気温には関係があるのでは?」というのが始まりです。興味を持ったことに仮説を立て、調べて、検証して、また仮説を立てて、という繰り返しは、結果がすぐに出なくて難しいなと思うことも多いですが、やりがいがあり、主体性が磨かれたと感じています。

高校3年の時は、大貴さんが脚本を手掛けたミュージカルに出演。外部のホールで上演されたこの作品は、私のプロ初舞台となりミュージカルに対しての思いが加速していきました。大貴さんには今も相談に乗ってもらうことがあり、ずっと頼りになる存在です。

※2 グローバルエクスカーション:「地球に目を向けた教育」を目的に展開する、立教小学校5年生の国内コース別選択の総合体験学習です。自分の身体を動かし、五感を使い、判断し行動することをねらいとしています。

「自分とは何か」を考え続ける学び

立教大学卒業式

演じることを追求したいと考えて、大学は迷わず現代心理学部映像身体学科へ。「身体から心を見る」という視点で学ぶ機会が多く、身体を動かすことで生まれる心理状態の変化に迫る、自分自身のことについて考える授業が印象的です。60分間その場でジャンプし続ける、わーっと叫びながら体育館を走る——実際にやっていると「これは何の授業なんだろう?」と思うのですが、自分を枠から解放し、0から1を生み出す力を鍛えられたと感じます。

立教大学時代は外部のオーディションや稽古に積極的に取り組み、ミュージカルの大きな作品へ出演する機会も得ました。地方公演などもあり、学業との両立は大変でしたが、友人に支えてもらいながら学生生活を続けることができました。

大学卒業後の明確な進路を決めたきっかけは、劇団四季の『ノートルダムの鐘』を観たことです。人間とは?を問いかけた作品で、とても考えさせられました。大学で心を考える学びに触れていたからこそ、『ノートルダムの鐘』の舞台に引き込まれたのだと思います。「自分もやりたい」。劇団四季のオーディションを受けようと決意しました。

舞台では、強い個が集い調和する

劇団四季のオーディションに合格し、1年間、研究生としてレッスンに励みました。朝5時半に起床して稽古場へ通い、月曜から土曜はレッスン、日曜は自主稽古の日々。同じ志を持った仲間と高め合いながらレッスンに臨んだ時間は、濃密で学びに満ちていました。

初舞台作品は、劇団四季のオーディションを受けるきっかけとなった『ノートルダムの鐘』でした。自分を選んでくれた方々に感謝するとともに、改めて「ここから頑張っていくぞ」と身の引き締まる思いで取り組みました。
舞台においては「集団の中の個」を意識させられる場面が多く、作品や共演者と自分との関係性をより良いものにするために、より高い解像度で捉えようとしています。小学校から大学までは自由に個を解放していた側面が強いですが、そうした中でも、先輩・後輩との関係性の中で自分がどのように立ち振る舞うか、周囲を観察しバランスをとる力が養われました。立教で身に付けた姿勢が、俳優としての私を支えているのです。
俳優は、誰も成し遂げたことがないような演技や自分にしかできない表現を追い求めています。私も自分の強みに磨きをかけ日々着実に成長し、劇団四季という場で夢をさらに大きく育てていきたいと思います。

2022年、2023年に出演した劇団四季オリジナルミュージカル『バケモノの子』。立崇さん(写真左)は主人公・蓮/九太役の一人として出演 〈撮影:阿部章仁〉

2021年『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』で歌を披露する立崇さん 〈撮影:樋口隆宏〉

プロフィール

PROFILE

劇団四季 俳優 立崇 なおと

立教小学校(55回生)
立教池袋中学校・高等学校(2014年卒業)
立教大学現代心理学部映像身体学科(2018年卒業)
りす・なおと/東京都出身。立教池袋中学校で演劇を始め、大学卒業後、2018年に劇団四季の研究所に入所。

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