人生を見通し、構築する力を育む

立教学院のキャリア教育

2021/12/14

OVERVIEW

立教学院では、キャリア教育を進学や就職のためだけではなく、その先の人生を自分でデザインし、主体的に未来を切り拓いていく力を身に付けるものと捉えています。
各校ではキャリア意識を高める特色ある取り組みが展開されており、小学校においても、社会科見学などの、社会を知り自己と社会のつながりを考える機会が豊富にあります。
2021年3月には立教大学が「就職偏差値が上がった大学」ランキングにて1位になりました。
今回は、池袋・新座両中高と立教大学で行われているキャリア教育についてご紹介します。

立教池袋中学校・高等学校

立教池袋中高では、立教学院共通の教育目標を実現することが豊かな人生・キャリアを築くことにつながるという考えの下、教育活動を行っています。
普段の授業や学友会活動をはじめ、生徒一人一人の可能性を広げるための取り組みを展開しています。

※ 立教学院の教育目標…「テーマを持って真理を探究する力」と「共に生きる力」を育む

豊かな人生を歩むための力を手に

高校3年自由選択講座の「リーダーシップ概論」の様子。講座内では、生徒たちが中学3年生に向けてオリジナルのゲームを行うワークショップも実施。中・高間の連携も進む

立教池袋中学校・高等学校は、キャリア教育=人生を豊かにするための教育と捉え、全ての学校教育活動がキャリア形成に必要なスキルを養うものと位置付けています。同校生徒部長の市橋祐介教諭はこう語ります。

「授業で新しい知識を得たり、学友会活動で仲間と協力することの大切さを学んだり、学校生活のあらゆる場面にキャリア教育の要素はあります。興味関心に逆らわず中高時代を過ごすことで自分の周りに『点』を打ってもらいたい。後にその点を線として結び付けていくことこそがキャリアデザインであり、それによって自分の歩む道が明確に見えるようになるのです」

池袋中高における特徴的な取り組みの一つが、高校1年で実施する「キャリア学習」です。グループごとに、さまざまな職業の方にインタビューを行い、そこで得たことを生徒たちで共有し、社会で求められる基礎的な力を養います。

「キャリア学習は、職業についての知識や技能を身に付けるプログラムではありません。職業人として生きていくためには、中高時代に何を学び、どういった経験をすべきなのか。社会人の仕事観・人生観に触れ、自分自身のキャリアを考えるきっかけを得てほしいと思っています」

また、池袋中高が新たな教育目標の柱として推進する「リーダーシップ教育」も、「長い人生の中で何度も遭遇するであろう困難に立ち向かうための力を育む、キャリアに通じる取り組みと言えます」と市橋教諭。2021年4月より高校3年の自由選択講座に「リーダーシップ概論」を開講。立教大学経営学部の教員とアシスタントを務める学生の指導の下、チームでプロジェクトを進めながら一人一人がチームに貢献し目標を達成する力を高めます。

こうした学校での諸活動を通して、「物事を俯瞰する力を身に付けてほしい」と市橋教諭は話します。

「大学進学や就職活動といった目の前のことだけにとらわれず、その先を見通す目を持ってほしい。そうすることで、より豊かな人生を築いていけるはずです」
市橋 祐介
立教池袋中学校・高等学校
生徒部長
社会科教諭

特徴的な取り組み

キャリア学習[高校1年]
生徒たちはインタビューを行いたい職業を検討し、その職業について調べたり、外部講師からレクチャーを受けたりした後に、インタビューに臨みます。社会人の話を通して感じたことや考えたことは、ポスターセッションとプレゼンテーションにて学年全体で共有。1週間かけて行う特別プログラムです。

業種や職種について調べる事前学習

インタビューで社会人の人生観に触れる

プレゼンテーションで情報を共有

立教新座中学校・高等学校

立教新座中高では、学校生活の中で主体性やリーダーシップを育み、
生徒自らが目標を明確にし、実現する、それを支えることをキャリア教育の軸としています。

段階的にキャリアへの意識を高める

高校1年のOB講話会の様子。医師や弁護士、技術系公務員、ミュージシャンなど幅広い分野で活躍する卒業生を招き、中高・学生時代の過ごし方や仕事について話を伺う

「自分の将来を見据え、目指すべき目標に向かって主体的に道を切り拓いていくためには、生徒の発達段階に応じたキャリア教育を行うことが大切です」と話すのは、立教新座中学校・高等学校副校長の吉川明憲教諭。具体的な進路選択に向けて高校2・3年で立教大学学部学科説明会を行っていますが、その前段階に、大学卒業以降の将来に目を向けるプログラムとして高校1年で「OB講
話会」を実施しています。

「例年、5月に実施しています。高校に入学してすぐの時期に、さまざまなフィールドで活躍する卒業生が、中高時代に何を考え、どのように過ごしていたかを知ることで、高校3年間の学校生活へのモチベーションを高めてほしいと考えています。また、立教大学以外へ進学したOBもいますので、他大学受験に道が拓けたり、もともと受験を考えている生徒にとっては良い刺激になったりということもあります」

2021年度は13人の卒業生を招き、各生徒はそのうち2人の講話に参加。得られた内容をクラスで発表することを通して自分の学びや意見を他者に共有する、リーダーシップの基本的なスキルも養います。

また、中学においてもキャリア教育やリーダーシップ教育に注力しています。中学1年は思考力・表現力を鍛えるアート鑑賞ワークショップ、2年は社会課題を解決に導く新しい職業を考えるプログラムを実施。3年では、校外研修旅行の代替としてSDGsに関するスタディーツアーに参加し、観察力やコミュニケーション力、物事を多面的に見る視点など、社会的自立に必要となる普遍的な
資質・能力を培います。3年の学年主任の島野誠大教諭は次のように話します。

「本校は『リーダーシップ』と『グローバル』を軸に学校教育活動全体を統合的に捉え、展開しています。教科教育、ホームルーム、クラブ活動など、指導教員や学びの環境はそれぞれ異なりますが、それらの活動一つ一つが連関することで、キャリア教育に対しても高い教育効果が得られていると感じます」

立教新座中高は、今後も中高6年間で段階的にキャリアへの意識を高める一連の取り組みを、継続・強化していきます。
吉川 明憲(左)
立教新座中学校・高等学校
副校長 数学科教諭

島野 誠大(右)
立教新座中学校・高等学校
中学3年 学年主任 理科教諭

特徴的な取り組み

スタディーツアー[中学3年]
社会課題の解決に取り組む企業・団体に訪問し、関係者の方と対話を行うスタディーツアー。生徒たちは、全6コースの中から興味に応じて選択し、事前学習・現場研修・事後学習に取り組みます。SDGsを身近な社会課題に結び付け、問題解決に向けた思考力やリーダーシップを育むプログラムです。

ツアー当日、関係者からの話に耳を傾ける生徒

全体を振り返り、社会課題やその解決方法などをクラスで発表

コース例

● みなさんも「買い物の仕方」が変わるかも…?フェアトレードを学び消費行動について考えるツアー

● 公共施設への補助犬同伴拒否がおこる社会、どうして?「心のバリアフリー」について考える

ツアー10月末の文化祭(S.P.O.F.)での発表に向け動画制作を進めています。

立教大学

2021年3月、朝日新聞EduAの「就職偏差値が上がった大学」(主要企業就職者200人以上)ランキングで立教大学が1位を獲得するなど、実績を積んでいます。「 キャリアの立教」を掲げる立教大学は、大学1年次から参加できる多彩なプログラムを展開し、就職という「点」だけではなく、その先を見通した「線」で支援しています。

就職はゴールではなく人生のマイルストーン

立教大学では「自分を知る」「社会を知る」ことを通して、仕事・就職を含めた自立した一人の人間として、自分らしい人生の在り方を追求できるよう、支援を行っています。大学での学びや課外活動で得た経験をベースに、強い意志や自己を相対化する力、物事を見極め決断する力を築き、自分自身の人生を切り拓いていけるよう、キャリアセンターや各学部が1年次から参加できるプログラムを多数展開し、学生が4年間で多様な価値観に触れられる機会を設けています。

POINT
  • 4年間を3つの期に分け、年次に応じて段階的にサポート
  • キャリアセンターは1・2年次でも活用できる
  • 各学部が正課および正課外でキャリア支援の取り組みを実施

立教大学キャリア支援プログラム

スタディツアー[1・2年次対象]
実際に企業に訪問し、職場見学や社員との交流、ビジネスワークを体験。「働くイメージ」を醸成し、自身の生き方や働き方を考える契機とします。
立教型インターンシップ[2・3年次対象]
選考直結型ではなく、就業体験を通して社会の仕組みを理解することや、学生自身の成長を促すことに重点を置いた、立教大学独自のプログラムです。
社会を知る講座[全学年対象]
世の中のトレンドをつかみ、実社会の中で企業や組織がどのような取り組みを行い、それらがどのような関係性を構築して社会やビジネスが成り立っているのかを学びます。
学内OB・OG訪問会[全学年対象]
立教大学を卒業し、社会で活躍する卒業生の「生の声」を聞くことを通じて、業界・企業・シゴトについて知り、やりがいや大変さを含め「働く」ことに対する理解を深めます。

※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.39(2021年10月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。

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