リーダーシップ教育の高大連携 
自分の強みを、チームに生かす

立教新座高等学校 長谷川 貴紀さん × 豊田 純平さん × 立教大学経営学部国際経営学科 秋山 亮さん

2020/11/11

OVERVIEW

2020年度、立教新座高等学校3年生が履修する自由選択科目に、立教大学経営学部の教員が担当するリーダーシップ関連講座(2講座)が新設されました。この講座に加え、特別聴講生制度を利用して大学のグローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP、以下GLP)を受講した2人の高校生と、経営学部の大学生が、得た学びや「リーダーシップとは何か」について語り合いました。

リーダーシップの土台を学ぶ

左)立教新座高等学校3年生 長谷川 貴紀さん、中)立教新座高等学校3年生 豊田 純平さん、右)立教新座中学校・高等学校卒業 立教大学経営学部国際経営学科3年次 秋山 亮さん

秋山 私は大学1年次でGLP※1の基になっている経営学部のビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)を履修し、2年次にはSA※2を務め、現在も授業運営に関わっています。2人が立教新座高校の自由選択科目「リーダーシップ入門 自己&他者理解」と、大学のGLPの両方を受講したのはなぜですか?

※1 グローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP):立教大学独自のリーダーシップ教育プログラム。入門科目「GL101」は、特別聴講生制度により池袋・新座両高校3年生が受講できる。

※2 SA(Student Assistant):授業のアシスタントを務める学生。学内応募・選考を経て、研修を行った上でサポートにあたる。


長谷川 立教大学に通う先輩からGLPが面白いと聞き、ぜひ体験してみたいと思いました。さらに、同時期に高校で「リーダーシップ入門」を履修するとより効果的だと考えたからです。

豊田 僕は長谷川くんに誘われたのがきっかけです。実際に、「リーダーシップ入門」で学んだことをGLPで実践したり、逆にGLPでの体験を知識として再認識できたりと、両方を受講したことで理解が一層深まりました。

長谷川 「リーダーシップ入門」では、リーダーシップを身に付ける上で基礎となる知識やスキルを学びました。特に、「人によって価値観や考え方が異なることを理解する」という点に重きが置かれていたように思います。

豊田 印象的だったのが、2人1組になり、1人が絵を見て内容を説明し、もう1人はその説明だけを聞いて絵を描くというグループワーク。これが意外と大変で、他者のものの見方を想像することや、コミュニケーションのとり方の難しさを実感しました。

秋山 普段の会話と、チームで一つの目標に向かうためのコミュニケーションは違うんですよね。「目的を持ったコミュニケーション」に慣れることは、グループワークを行う上で大きな力になると思います。

誰もが発揮できる力と知って

秋山 GLPの授業はどうでしたか?

長谷川 もともとリーダーシップは特定の役職の人が持つものだと思っていたのですが、最初の授業で、「これから学ぶのは権限なきリーダーシップです」と言われて衝撃を受けました。

豊田 誰もが発揮できる力だと、認識が大きく変わって。その後のグループワークでは「自分なりのリーダーシップで貢献する」ことを意識しました。

秋山 まさにそれが立教のリーダーシップですね。授業では、企業から提示された課題にチームで取り組み、解決策を提案する過程を通して、そのスキルを高めていくわけです。

長谷川 課題は、地域情報メディアを運営する会社の「『みんなの毎日を楽しく、幸せにする』という理念を体現する提案を」、というものでした。大学生のチームに入るのは緊張しましたが、次第に慣れて積極的に発言できるようになりました。また、パワーポイントやエクセルが得意だったので、苦手な人にアドバイスするなど、自分の強みを生かすことができたと思います。

豊田 ミーティングを重ねるうちにそれぞれの得意・不得意が分かってきて、うまく補い合ってチーム力を高めることができました。同時に、自分の長所や短所を知ってもらうには、自分自身をさらけ出さないといけないと気付きました。

秋山 高校生が加わることは大学生にも新鮮で、発見があったと思います。立教大学のリーダーシップ教育プログラムは基本的にSAが授業の進行や助言を行いますが、私が意識しているのは、具体的な指示や答えではなく、考えるきっかけを与えること。「こうした方が良い」ではなく、「この問題をどう思う?」と問いかけるようにしています。

豊田 確かに僕のクラスのSAの方もそうでした。また、「こういう視点もあるよ」とアドバイスを頂いたりもして、提案に磨きをかけることができました。

長谷川 僕のクラスはどのチームも予選で落ちてしまい、企業にプレゼンテーションを行う本選への出場がかなわなかったのですが、SAの方から「本選に連れていけなくてごめん」とメッセージが送られてきたんです。本気で向き合ってくださっていたんだなと胸が熱くなりました。

自分なりの「答え」を探す

豊田 秋山さんにお聞きしたいのですが、僕は積極的に喋るタイプで、その分チームメンバーが黙ってしまう場面もありました。こういう場合はどう振る舞えば良いのでしょうか。

秋山 一方的に話すのではなく、相手の意見を引き出す「喋り」を心掛けてはどうでしょうか。「自分の強みを使って周りをどう巻き込んでいくか」を考えるのがポイントです。

長谷川 僕のチームは雰囲気が良い半面、ミーティングが単なる雑談になってしまい、議論が先に進まないことが割とあったのですが……。

秋山 和やかな雰囲気が悪いわけではないですが、もしテキパキ進めたいのに遠慮して言えない人がいた場合、チームのパフォーマンスは下がってしまいます。そのために授業では相互フィードバックの機会があるので、「言いづらいことも伝える」「このやり方でいいのか常に確認し合う」ことが大事ですね。最後に、「リーダーシップ入門」とGLPでの学びを、今後どのように生かしていきたいですか?

豊田 チームで協働するための理論と実践を学び、自信になった部分もあれば、自分の課題も明らかになりました。大学や社会に出てから、チームを組んだ際に生かしていきたいです。
長谷川 高校のクラブ活動や委員会活動でも、学んだことを行動に移したいと思います。また、大学では次のステップのGLP科目にも挑戦してみたいです。

秋山 リーダーシップに明確な答えはありません。その答えに近付くには、自分自身を知ること、そしていろんな経験をすることが大切だと思います。高校でその第一歩を学んだことを機に、今後は大学の授業はもちろん、クラブ・サークルやアルバイトなど、いろんな組織・チームで活動していくといいと思いますよ。ぜひ頑張ってください!
※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.36(2020年10月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時(2020年7月27日)のものです。

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