誰もが発揮できる
新たなリーダーシップを育む
立教の先進的なリーダーシップ教育
2020/02/05
OVERVIEW
立教大学が推進する先進的なリーダーシップ教育が、いま、社会から大きな注目を集めています。
立教が育む、次代の担い手に不可欠な「新しいリーダーシップ」とは何か。具体的な取り組みや学院全体の動きを交えて、経営学部の中原淳教授にお話を伺いました。
学内外からの高い評価
立教大学のリーダーシッププログラムの授業の様子 立教GLP特別聴講生制度の受講生(池袋・新座両高等学校3年生)を交えた授業(GL101)
グローバル化の一途をたどる社会の中で、さまざまな企業・組織においてリーダーシップを発揮できる人材が求められています。
立教大学では、リーダーシップ教育を柱の一つに据え、他大学に先行して先進的な取り組みを進めてきました。
人材開発・組織開発を専門とする経営学部の中原淳教授は、「その先駆けとなったのは、2006年度から経営学部が実施している『ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)』です」と話します。BLPは2008〜2010年度に文部科学省が優れた教育改革の取り組みを選定・支援する「教育GP(Good Practice)」に採択され、その中でも最高レベルの評価を受けました。2013年度には、BLPの教育内容を全学展開した「グローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP)」を導入し、対象を全学部学生に拡大。2020年4月には、大学院に日本初の「リーダーシップ開発コース」を開設、大きな注目を集めています。
立教大学では、リーダーシップ教育を柱の一つに据え、他大学に先行して先進的な取り組みを進めてきました。
人材開発・組織開発を専門とする経営学部の中原淳教授は、「その先駆けとなったのは、2006年度から経営学部が実施している『ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)』です」と話します。BLPは2008〜2010年度に文部科学省が優れた教育改革の取り組みを選定・支援する「教育GP(Good Practice)」に採択され、その中でも最高レベルの評価を受けました。2013年度には、BLPの教育内容を全学展開した「グローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP)」を導入し、対象を全学部学生に拡大。2020年4月には、大学院に日本初の「リーダーシップ開発コース」を開設、大きな注目を集めています。
誰もが身に付けることが可能な力
立教大学のリーダーシッププログラムの授業の様子
企業や教育業界から高い評価を得ている立教大学のリーダーシップ教育。その最大の特色は、「リーダーシップとは何か」という考え方そのものにあります。
「リーダーシップと聞くと、『一人のカリスマ的リーダーが集団を率いる』というイメージを持つ人が多いと思います。しかし、多様な価値観や背景を持つ人々が協働する機会が増えている現代では、新たな形のリーダーシップが求められています。それは、メンバー全員が互いの強みを引き出し合い、一人一人がチームに貢献し、目標を達成する力。立教大学は、こうした力を備えた次代のグローバルリーダーの育成を目指しています」
この新しいリーダーシップは、性格や年齢に関係なく、誰もが身に付けることが可能な力だと中原教授は強調します。
「たとえ内向的な性格の人であっても、自分の強みを生かしてチームに貢献することができます。リーダーシップは『他人ごと』ではなく、『自分ごと』だとまずは捉え直してほしいと思います」
「キリスト教に基づく人間教育」を建学の精神に据える立教学院では、「他者と共に生きる力」を育むことを伝統的に重視してきました。多様な考えを受け入れ、協働しながらゴール達成を目指す新しいリーダーシップの育成は、建学の精神が現代的に形を変えた取り組みであると言えます。
「リーダーシップと聞くと、『一人のカリスマ的リーダーが集団を率いる』というイメージを持つ人が多いと思います。しかし、多様な価値観や背景を持つ人々が協働する機会が増えている現代では、新たな形のリーダーシップが求められています。それは、メンバー全員が互いの強みを引き出し合い、一人一人がチームに貢献し、目標を達成する力。立教大学は、こうした力を備えた次代のグローバルリーダーの育成を目指しています」
この新しいリーダーシップは、性格や年齢に関係なく、誰もが身に付けることが可能な力だと中原教授は強調します。
「たとえ内向的な性格の人であっても、自分の強みを生かしてチームに貢献することができます。リーダーシップは『他人ごと』ではなく、『自分ごと』だとまずは捉え直してほしいと思います」
「キリスト教に基づく人間教育」を建学の精神に据える立教学院では、「他者と共に生きる力」を育むことを伝統的に重視してきました。多様な考えを受け入れ、協働しながらゴール達成を目指す新しいリーダーシップの育成は、建学の精神が現代的に形を変えた取り組みであると言えます。
カギは「背伸び」と「振り返り」
立教大学のリーダーシッププログラムの授業の様子 英語で開講、外国人留学生と共に学ぶ授業も(GL111)
こうした次世代のリーダーシップを実践的に養うプログラムが、経営学部のBLPおよび全学部学生対象の立教GLPです。授業は少人数のグループワークを中心とし、理論と実践の両面から学びを深めていきます。
例えば、経営学科1年次生必修のBLP科目「リーダーシップ入門(BL0)」では、協力企業から提示された課題にグループで取り組み、解決策を提案します。
「ポイントは、困難な課題に挑んで『背伸び』をする経験と、その『振り返り』を繰り返すことです。受講生は授業開始時に、伸ばしたいリーダーシップスキルについて目標を設定し、グループワークを重ねながら相互にフィードバックを行い、自分自身を見つめ直します。この手法はグローバルスタンダードに沿ったもので、企業などでも多く取り入れられています」
例えば、経営学科1年次生必修のBLP科目「リーダーシップ入門(BL0)」では、協力企業から提示された課題にグループで取り組み、解決策を提案します。
「ポイントは、困難な課題に挑んで『背伸び』をする経験と、その『振り返り』を繰り返すことです。受講生は授業開始時に、伸ばしたいリーダーシップスキルについて目標を設定し、グループワークを重ねながら相互にフィードバックを行い、自分自身を見つめ直します。この手法はグローバルスタンダードに沿ったもので、企業などでも多く取り入れられています」
立教大学のリーダーシッププログラムの授業の様子
立教GLPでも同じ方式のもと、異なる学部の学生や外国人留学生などを交えた、より多様なチームによる協働を経験します。また、英語による科目も開講し、世界のどこでも、誰とでも発揮できるリーダーシップを身に付けることを目指します。
これらのプログラムの他にも、理学部・経営学部の科目で、他学部の学生も履修できる「理学とビジネスリーダーシップ(BL4)」をはじめ、体育会向けのリーダーシップ研修を実施するなど、全学的に特色ある教育を展開しています。
これらのプログラムの他にも、理学部・経営学部の科目で、他学部の学生も履修できる「理学とビジネスリーダーシップ(BL4)」をはじめ、体育会向けのリーダーシップ研修を実施するなど、全学的に特色ある教育を展開しています。
小中高の学びや家庭の中にリーダーシップを育む種はある
中原教授によれば、こうしたリーダーシップを育む機会は、立教小中高の学びの中にも多くあるといいます。「小中高では、『タフなチャレンジ』と『振り返り』の機会が日々の学校生活の中にたくさんあります。体育祭や文化祭、立教小学校で取り組まれている縦割りキャンプなどもその一つでしょう。大学からと言わず、早い段階から意識付けができれば、成長速度や効果は大きくなります。ご家庭においても、日常の会話や行動の中で子どものリーダーシップを伸ばすことはできるため、ぜひ実践していただきたいと思います」
「立教生の良さは、リーダーシップを『自分ごと』と捉える純粋さや誠実さを持っていること。それをうまく生かしてほしいですね」と話す中原教授。立教学院では、池袋・新座の両高等学校の生徒が大学の立教GLP科目を受講できる制度を設けるなど、一貫連携教育を推進しています。これからも新たな時代を担うリーダーシップを備え、社会に貢献できる人材の育成を目指し、学院全体でさらなる教育の充実を図っていきます。
≪従来のリーダーシップ≫
≪立教が育むリーダーシップ≫
プロフィール / PROFILE
中原 淳
立教大学経営学部経営学科教授立教大学大学院経営学研究科
リーダーシップ開発コース主査
なかはら じゅん/東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科修了。マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等を経て、2018年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究。民間企業や公的機関の人材育成にも広く携わっている。『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版、2018年)、『フィードバック入門』(PHP研究所、2017年)など、著書多数。
中原教授オススメの書籍
『リーダーシップ教育のフロンティア—高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」研究編/実践編』編著:舘野泰一、高橋俊之
監修:中原淳
北大路書房/2018年6月
立教GLP特別聴講生制度 受講生の声
立教大学の全学部学生対象プログラム「立教GLP」の入門科目「GL101」は、協力企業から提示された課題の解決にチームで取り組む授業で、池袋・新座両高等学校の3年生は「立教GLP特別聴講生制度」で受講できます。本制度を利用して2019年度春学期(4~7月)に当科目を受講した高校生の声をご紹介します。
立教池袋高等学校 3年生 井村 大希 さん
自分の強みを生かし、
大学生と混合のチームで存在感を発揮できた
受講を決めたのは、生徒会活動を通して「周囲を引っ張る力が足りない」と感じていたからです。しかし、授業を受けてリーダーシップ観が根底から変わり、「互いの得意分野を生かし合うことで、より良いチームや組織になる」と考えるようになりました。グループワークでは、大学生の知識量や“伝える”力に自分の力不足を感じましたが、「失敗を恐れずアイデアを出す」ことを心掛けた結果、チームの提案に自分の案が採用されました。その他にも、議論のコツや物事に対するアプローチなど、あらゆる場面で土台となる考え方を学ぶことができ、高校生活の中で実践しています。大学進学後は英語で開講される立教GLP科目に挑戦し、グローバルな環境でリーダーシップを発揮できる力を身に付けたいと思います。
大学生と混合のチームで存在感を発揮できた
受講を決めたのは、生徒会活動を通して「周囲を引っ張る力が足りない」と感じていたからです。しかし、授業を受けてリーダーシップ観が根底から変わり、「互いの得意分野を生かし合うことで、より良いチームや組織になる」と考えるようになりました。グループワークでは、大学生の知識量や“伝える”力に自分の力不足を感じましたが、「失敗を恐れずアイデアを出す」ことを心掛けた結果、チームの提案に自分の案が採用されました。その他にも、議論のコツや物事に対するアプローチなど、あらゆる場面で土台となる考え方を学ぶことができ、高校生活の中で実践しています。大学進学後は英語で開講される立教GLP科目に挑戦し、グローバルな環境でリーダーシップを発揮できる力を身に付けたいと思います。
立教新座高等学校 3年生 井俣 慶祐 さん
グループワークや相互フィードバックを通して
知らない「自分」に出会った
高校で開催された本プログラムの説明会に参加した際、身近な問題の解決策を話し合うグループワークを行い、答えのない問題を考えるプロセスが面白く履修を決めました。立教GLPの授業で出された課題は、ある企業に対する新規事業の提案でした。「そのサービスは本当に求められているか」「実際にビジネスとして成立するか」などを考え抜き、最終的にはチームとして納得のいく提案ができました。受講を通して、「リーダーシップとはチームに貢献するあらゆる形態の行為である」という学びを得たほか、相互フィードバックによって自分が知らなかった自分に気付けたように思います。今回の経験を、スキー部部長としてのチームづくりや大学での学び、その先の社会に出た後のビジネスに生かしていきたいです。
知らない「自分」に出会った
高校で開催された本プログラムの説明会に参加した際、身近な問題の解決策を話し合うグループワークを行い、答えのない問題を考えるプロセスが面白く履修を決めました。立教GLPの授業で出された課題は、ある企業に対する新規事業の提案でした。「そのサービスは本当に求められているか」「実際にビジネスとして成立するか」などを考え抜き、最終的にはチームとして納得のいく提案ができました。受講を通して、「リーダーシップとはチームに貢献するあらゆる形態の行為である」という学びを得たほか、相互フィードバックによって自分が知らなかった自分に気付けたように思います。今回の経験を、スキー部部長としてのチームづくりや大学での学び、その先の社会に出た後のビジネスに生かしていきたいです。
立教学院リーダーシップ教育TOPICS
立教小学校 軽井沢みすず山荘キャンプ
立教小学校では、毎年夏季に1年生から4年生までの児童が、軽井沢にある小学校専用キャンプ場「みすず山荘」でキャンプを行います。
2〜4年生はクラスごとに縦割りのチームを組み、上級生と下級生が一緒に過ごします。目の前の課題解決に主体的に取り組む経験により、一人一人のリーダーシップが育まれます。
2〜4年生はクラスごとに縦割りのチームを組み、上級生と下級生が一緒に過ごします。目の前の課題解決に主体的に取り組む経験により、一人一人のリーダーシップが育まれます。
高校生・既卒生対象「立教経営1day Passport」
立教大学経営学部では、BLP科目「論理思考とリーダーシップ」の一環として大学生が高校生を対象に体験授業を毎年提供しています。(2019年度は定員に達したため、受付は終了しました)
立教新座高等学校で経営学部教員が授業
2020年4月より、立教新座高等学校3年生が履修する自由選択科目に、立教大学経営学部の教員が担当するリーダーシップ関連科目を新たに開設予定です。大学の「GL101」授業を高校で受けることができるようになります。
2020年4月、 経営学研究科に日本初の「リーダーシップ開発コース」開設
大学院経営学研究科経営学専攻を改組し、主に社会人※を対象とする「リーダーシップ開発コース」を2020年4月に開設します。日本初の「人づくり・組織づくり」に特化した大学院として、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進できる高度専門人材を養成。学術的な知識と実践的なスキルの両方を身に付けた、次世代のリーダー育成の担い手を育みます。
※立教大学経営学部「5年間一貫プログラム」履修生も対象
※立教大学経営学部「5年間一貫プログラム」履修生も対象
※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.34(2020年1月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。