限界へ挑み、走り続ける —陸上競技部座談会—

立教大学体育会陸上競技部 男子駅伝監督 上野 裕一郎氏 × 柿沼 光希さん × 小島 遼さん

2019/07/02

OVERVIEW

立教大学は、2024年の創立150周年に向けた記念事業として「立教箱根駅伝2024」を開始し、同年に第100回大会を迎える箱根駅伝本選への出場を目指します。今回は、大学陸上競技部男子駅伝監督に就任した上野裕一郎氏と、立教新座高等学校陸上競技部で中長距離種目に取り組む二人の生徒が語り合いました。

中長距離種目を選んだ理由

上野    私が陸上を始めたのは、中学3年の秋でした。それまでは野球に打ち込んでいましたが、初めて出場した駅伝大会で全国レベルの選手と僅差の好記録を出したこともあり、高校から陸上の強豪校へ進学しました。長野県出身で、子どもの頃から野山を駆け回っていたため、知らない間に足腰が鍛えられたのかもしれません。二人が陸上を始めたきっかけは何ですか?

柿沼    僕も中学では別の部に所属していましたが、友人に誘われて高校から陸上競技部に入部しました。体力には自信があったのですが、最初に走った6000メートルでは途中で脱落してしまいました。顔色を変えず走っている先輩方の姿に、尊敬と同時に悔しさを感じ、そのレベルまで到達したいと中長距離種目を選びました。

小島    同じく友人に誘われて、高校から陸上を始めました。もともと長距離走が得意だったため、中長距離種目以外は眼中にありませんでした。普段の部活動では、一週間単位でメニューを組み、ポイント練習やジョグ、ペース走などを組み合わせて練習に励んでいます。

苦しさを越えた先に

立教大学陸上競技部で選手への指導を行う上野監督

上野    日頃の練習や試合で苦労していることはありますか?

柿沼    陸上を始めた当初は、長距離の走り方を身に付けるのが大変でした。長い距離になればなるほど苦しさもあって、いまだに理想の走りができていないと感じることがあります。

上野    長距離走にとっては「苦労があることが幸せ」と言えるので、努力あるのみですね。ペースを落とせば楽になりますが、そこで耐え抜かないと強くはなれません。苦しさを乗り越えた先に成長が待っているので、苦労もポジティブに捉えてほしいと思います。

小島    僕はけがをして、走りたくても走れない時期がつらかったです。可能な範囲でトレーニングしていましたが、果たしてこれでいいのか、復帰後につながるのだろうかと不安に思っていました。

上野    けがで走れないつらさは私も経験があります。でもそんなときだからこそ何かを極めようと徹底的に体幹を鍛え、復帰後はより安定した走りができるようになりました。自分の意識次第で、意味のあるトレーニング、意味のある時間になると思います。では、部活動を通して成長できた点や得たものはありますか?

小島    部では主体性を重んじているため、自分の意見をしっかり主張できるようになったことです。部員に指示を出したり、後輩にアドバイスをしたり、さまざまな場面でリーダーシップを発揮できるようになりました。

柿沼    得たものは、チームメイトとの絆です。心が折れそうになる厳しい練習でも、仲間の声かけによって限界以上の力が出せるように思います。

上野    部の雰囲気の良さ、仲の良さが伝わってきますね。私から一つアドバイスするとすれば、普段からきちんとした生活態度や身の回りの整理整頓を心掛けてほしいと思います。立教大学陸上競技部でも、荷物の置き方、トイレや風呂場の使い方から指導を始めていますが、経験上、そうした部分をおろそかにする人は試合でも良い走りができません。余裕を持って行動し、心を落ち着かせてレースに臨んでください。

目標へ向かって走りきる

立教新座高等学校3年生 陸上競技部 、柿沼 光希さん(左)、小島 遼さん(右)

上野    新座中高と大学の陸上競技部は同じセントポールズ・フィールドで練習していますが、高校の設備としては全国トップクラスだと思います。

柿沼    ブルータータンのトラックで、上野監督をはじめ大学生のレベルの高い走りを見ながら練習できる。上を目指しやすい、恵まれた環境だと感じます。

小島    大学陸上競技部にも新座中高の先輩がいるため、競技で悩んだときには相談できて助かっています。

上野    大学陸上競技部は今後、さらにレベルが上がっていきます。その練習を間近で見て、参考になる部分はどんどん真似してください。高校で力をつけて、大学の陸上競技部に入ってきてくれるとうれしいですね。現在の目標は何ですか?

小島    僕は18年の埼玉県高等学校新人陸上競技大会で3000メートル障害に出場し、関東大会出場にあと4秒届かず悔しい思いをしました。次のインターハイ予選では県大会で上位入賞し、北関東大会に進みたいと思います。

柿沼    個人としては、1500メートル・5000メートルそれぞれで目標タイムを切ることです。チーム全体では、18年は惜しくも6位入賞を逃した高校駅伝埼玉県予選会で今度こそ入賞を果たし、仲間と共に関東高校駅伝大会に出場したいと考えています。

上野    明確な目標を持つことはとても大切なので、その調子で競技実績を積んでほしいと思います。大学陸上競技部では「立教箱根駅伝2024」事業のもと、高みを目指すためのチームづくりに取りかかっていて、部員一人一人が闘志を燃やしています。選手の夢の実現に向けて精一杯サポートしたいですし、5年後に箱根路を走ることができれば、多くの学生や卒業生にも喜んでいただけるでしょう。その様子をしっかりと思い描きながら、日々の指導に取り組んでいきたいと思います。
※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.32(2019年5月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。

プロフィール

PROFILE

上野 裕一郎

うえの ゆういちろう / 1985年長野県生まれ。高校3年で10,000mの日本高校記録(当時)をマーク。中央大学に進学後4年連続で箱根駅伝に出場し、3年の時には3区で区間賞を獲得。
卒業後はエスビー食品を経てDeNAに移籍。2018年12月男子駅伝監督に就任。



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