池袋キャンパス100周年「街づくり」と「人づくり」をともに
立教大学総長 郭 洋春 教授×豊島区長 高野 之夫 氏
2018/10/26
OVERVIEW
2018年、立教大学池袋キャンパスは100周年を迎えました。1918年に築地から移転して以来、池袋の街とともに歩み、ともに発展を続けてきた立教。今回は、豊島区との豊かな関係性や展望について、卒業生の高野之夫豊島区長と立教大学郭洋春総長に、立教で過ごしたご自身の思い出も交えて語っていただきました。
街と一体化したキャンパス
高野 私は池袋キャンパスのすぐそばで生まれ育ち、立教に中学から大学まで10年間通いました。中高は無遅刻・無欠席で皆勤賞をもらったのを覚えています。家が近かったため、中学の時には飼っていた犬が校内に入ってきてしまい、他の生徒の注目を集めながら家まで連れて帰ったこともありました(笑)。学校は暮らしと地続きのような身近な存在で、非常に楽しく、思い出深い10年間を過ごしました。
郭 小中高、さらには大学も含め、地元から進学される方が多いのは立教の特色の一つですね。私も池袋西口で生まれて大学院から立教に進学しましたが、当時印象的だったのは、立教通りの商店街をはじめとした周囲の街並みに溶け込んだ大学の姿でした。現在も変わらず地域の方々との距離が近く、一体化した賑わいがあり、他にはない街とキャンパスの関係性があるように思います。
高野 その点に関して、区長として母校に貢献できたと自負していることがあります。区長就任当時、池袋キャンパスの周囲はコンクリートの壁で囲まれていました。それを撤去してほしいという区民の声があり、当時の大橋英五総長にご提案した結果、現在のフェンスになったのです。美しい建物やそこで学ぶ学生の姿が外から見えることで、街全体がキャンパスのような一体感が生まれたと思います。
郭 壁がなくなってオープンな雰囲気になり、その頃から大学を訪れる地域の方が増えたように感じます。今では写生をされている年配の方や、芝生で遊ぶ園児たちの姿が日常の光景となりました。
高野 区長のご提案によって、近隣の方々にとって一層身近な存在となり、地域に開かれた大学としての役割を果たせてきたのだと思います。
郭 小中高、さらには大学も含め、地元から進学される方が多いのは立教の特色の一つですね。私も池袋西口で生まれて大学院から立教に進学しましたが、当時印象的だったのは、立教通りの商店街をはじめとした周囲の街並みに溶け込んだ大学の姿でした。現在も変わらず地域の方々との距離が近く、一体化した賑わいがあり、他にはない街とキャンパスの関係性があるように思います。
高野 その点に関して、区長として母校に貢献できたと自負していることがあります。区長就任当時、池袋キャンパスの周囲はコンクリートの壁で囲まれていました。それを撤去してほしいという区民の声があり、当時の大橋英五総長にご提案した結果、現在のフェンスになったのです。美しい建物やそこで学ぶ学生の姿が外から見えることで、街全体がキャンパスのような一体感が生まれたと思います。
郭 壁がなくなってオープンな雰囲気になり、その頃から大学を訪れる地域の方が増えたように感じます。今では写生をされている年配の方や、芝生で遊ぶ園児たちの姿が日常の光景となりました。
高野 区長のご提案によって、近隣の方々にとって一層身近な存在となり、地域に開かれた大学としての役割を果たせてきたのだと思います。
コンクリート壁に囲まれていた1965年頃の池袋キャンパス
2001年の改修工事で現在のフェンスに
連携をより確かな形に
郭 地域に深く根差し、貢献を続けてきた歴史を踏まえ、2005年に豊島区と立教大学は教育連携協定を締結しました。その後、区と本学を含む区内7大学による包括協定の締結、東京芸術劇場や地元NPOとの連携などを経て、昨年には2020年東京オリンピック・パラリンピックに関する連携協力協定を結んでいます。池袋キャンパス100周年にあたり「池袋の街とともに」というキャッチフレーズを掲げましたが、多方面での連携は、まさにその象徴だと言えるでしょう。協定という確かな形にする、あるいは自治体にとどまらず各方面と連携することで、より力強く濃密な関係を築くことができたと考えています。
高野 立教大学がこれだけ密な連携に踏み切り、地域と一体となって歩む意思を形にしてくださったことに感謝しています。今後も相乗効果によって、互いの価値を高め合っていきたいですね。区としても現在、さらなる魅力創出を目指して国際アート・カルチャー都市構想に基づく新たな街づくりに着手しており、これから池袋の姿は大きく変化していく予定です。
郭 豊島区は常に新たなことに取り組まれていて、街が活気に満ちている印象があります。とりわけ、至る所で再開発が進み、変化が目に見えて分かる点がその魅力を最大化しているのではないでしょうか。本学においても、教育、研究、その他の取り組みにおける変化を目に見える形でしっかり発信し、区に負けないよう発展していきたいと思います。
高野 立教大学がこれだけ密な連携に踏み切り、地域と一体となって歩む意思を形にしてくださったことに感謝しています。今後も相乗効果によって、互いの価値を高め合っていきたいですね。区としても現在、さらなる魅力創出を目指して国際アート・カルチャー都市構想に基づく新たな街づくりに着手しており、これから池袋の姿は大きく変化していく予定です。
郭 豊島区は常に新たなことに取り組まれていて、街が活気に満ちている印象があります。とりわけ、至る所で再開発が進み、変化が目に見えて分かる点がその魅力を最大化しているのではないでしょうか。本学においても、教育、研究、その他の取り組みにおける変化を目に見える形でしっかり発信し、区に負けないよう発展していきたいと思います。
次の100年を見据えて
高野 池袋キャンパス100周年という記念すべき節目は、区としても大きなチャンスです。さらに2019年、豊島区は「東アジア文化都市」の国内都市として多彩な文化芸術イベントを開催し、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開幕します。これらをうまく生かしていけば、区と大学双方の国内外における存在感を一層高めていけると考えています。
郭 本学としても、東京オリンピック・パラリンピックにはボランティアとして学生を送り出し、豊島区を訪れる外国人観光客への対応も地域の方々と一緒に行う予定です。地域社会と協働するこうした体験は、学生にとって座学では得られない学びを得る絶好の機会になるでしょう。
高野 今年は、豊島区と立教がともに大きく飛躍していくための新たなスタートです。次の100年に向けて、さらなる「街づくり」と「人づくり」を進めていきたいですね。「街づくり」は豊島区で、「人づくり」は立教で、二人三脚でやっていく。今後も多方面で協働し、全国から注目されるような連携モデルを目指したいと思います。
郭 本学としても、東京オリンピック・パラリンピックにはボランティアとして学生を送り出し、豊島区を訪れる外国人観光客への対応も地域の方々と一緒に行う予定です。地域社会と協働するこうした体験は、学生にとって座学では得られない学びを得る絶好の機会になるでしょう。
高野 今年は、豊島区と立教がともに大きく飛躍していくための新たなスタートです。次の100年に向けて、さらなる「街づくり」と「人づくり」を進めていきたいですね。「街づくり」は豊島区で、「人づくり」は立教で、二人三脚でやっていく。今後も多方面で協働し、全国から注目されるような連携モデルを目指したいと思います。
※本記事は、『立教学院NEWS』Vol.28(2018年1月)の記事を再構成したものです。記事の内容およびプロフィールは、取材当時のものです。
プロフィール
PROFILE
たかの ゆきお/ 1937年東京都生まれ。
立教中学校・高等学校を経て、60年立教大学経済学部経済学科卒業。83~89年豊島区議会議員、89~99年東京都議会議員を務める。99年豊島区長に初当選、2015年に5選
郭 洋春(左)
かく やんちゅん/ 1959年東京都生まれ。
88年立教大学大学院経済学研究科経済学専攻博士課程後期課程単位取得退学。同大学経済学部助手・専任講師・助教授を経て、2001年より教授。2018年4月、立教大学第21代総長に就任。